皮膚のバリア機能が弱まり、刺激やアレルゲンに反応しやすくなることで発症します
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な皮膚の病気です。
皮膚のバリア機能が弱まり、外部からの刺激やアレルゲンに反応しやすくなることで発症します。
原因には、体質や遺伝的要因に加え、ダニやハウスダスト、花粉、汗、ストレス、気温や湿度の変化などの環境要因が関係すると考えられています。
症状は乾燥や赤み、かゆみ、湿疹が中心で、顔や首、肘や膝の内側などに出やすいのが特徴です。

アトピー性皮膚炎の治療方法
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な体質に加えて、さまざまな内的・外的な悪化要因が関与する慢性の皮膚疾患です。現時点では病気そのものを完全に治す治療法や薬はなく、症状を和らげてコントロールする「対症療法」が治療の基本となります。
具体的には、炎症やかゆみを抑えるための外用薬(ステロイド外用薬、免疫抑制外用薬など)や内服薬(抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬など)を用いるとともに、保湿剤によるスキンケアで皮膚のバリア機能を守ることが重要です。
また、生活環境の整備(室内の清潔保持、温湿度管理、衣類の選び方)や、食事・ストレスなど全身的な要因への対応も欠かせません。
外用薬(ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏など)での治療
アトピー性皮膚炎の治療では、症状の程度や部位に応じて外用薬を用いることが基本です。代表的なものにステロイド外用薬やタクロリムス軟膏があります。ステロイド外用薬は炎症やかゆみを早く抑える効果があり、症状の強い部位や急性期に使用されます。使用する際は、部位や症状に応じて強さや塗布量を調整し、医師の指示に従うことが大切です。
一方、タクロリムス軟膏はステロイドを使いにくい顔や首などの敏感部位でも使用でき、慢性的な炎症の管理に適しています。
外用薬治療は、症状の改善だけでなく再発予防のためにも継続的に行うことが重要であり、保湿剤と併用することで肌のバリア機能を整え、症状の悪化を防ぎます。
医師と相談しながら、適切な外用療法を行うことが、アトピー性皮膚炎の症状改善に繋がります。
内服薬(抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬)での治療
アトピー性皮膚炎の症状が強い場合や、外用薬だけでは十分な効果が得られない場合には、内服薬による治療が行われることがあります。代表的なものに抗ヒスタミン薬や免疫抑制薬があります。
抗ヒスタミン薬はかゆみを和らげ、睡眠障害や日常生活への影響を軽減する効果があります。
免疫抑制薬は、免疫の過剰な反応を抑えることで皮膚の炎症を改善し、症状の悪化を防ぐ目的で使用されます。
これらの内服薬は症状や年齢、体の状態に応じて適切に選択され、医師の指導のもとで使用することが重要です。また、外用薬や保湿剤と組み合わせることで、より効果的に症状のコントロールが可能となります。
安全かつ効果的な治療のためには、定期的な受診と医師との相談が欠かせません。
光線療法での治療
光線療法は、特殊な波長の紫外線(主にナローバンドUVB)を皮膚に照射し、炎症やかゆみを和らげる治療法です。
紫外線には皮膚の免疫反応を調整し、過剰な炎症を抑える働きがあり、外用薬や内服薬だけでは症状の改善が難しい中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に効果が期待できます。
治療は全身照射または症状のある部分のみを対象とした部分照射で行い、週1〜2回程度の通院が必要です。
ステロイド外用薬のような皮膚萎縮の副作用が少ないのも特徴ですが、日焼けや色素沈着などの注意が必要な場合があります。
当院では、症状や生活スタイルに合わせて照射範囲や回数を調整し、安全で効果的な光線療法を提供しています。